第36回日本リーグ
2011-2012 Season

大会の見所

第36回日本ハンドリーグ SEASON 2011-2012

 実力伯仲で例年を上回る混戦模様に
 ~開幕近づく第36回日本ハンドボールリーグ~

 第36回日本ハンドボールの開幕が迫ってきた。10月29日愛知での女子・HC名古屋-北國銀行戦を皮切りにロングランの戦いがスタート。男子8チーム、女子6チームが参加するレギュラーシーズンの男子上位4チーム、女子3チームによるプレーオフ(3月10・11日、東京・駒沢体育館)で優勝が争われる。
 男子2回戦、女子3回戦総当たりで行われるレギュラーシーズンは、男女のロンドン・オリンピックアジア予選(女子・10月12~21日=中国、男子・10月23日~11月2日=韓国)の開催で例年より開幕がうしろにずれ込み、さらにブラジルでの女子世界選手権(12月3~18日)、サウジアラビアでの男子アジア選手権(2012年1月26日~2月4日)もあって女子、男子の単独開催が多く、土日の連戦も相次ぐなど変則日程となっている。
 レギュラーシーズンを男子が8週、女子も11週で終えるコンパクトな編成で行われる今リーグ。前回は東日本大震災によりプレーオフが中止となり、レギュラーシーズン1位の男子・大崎電気、女子・北國銀行が栄冠をものにした。
 まずはプレーオフ進出をめぐる各チームの争いが注目されるが、男子は2連覇を狙う大崎をはじめ、湧永製薬、大同特殊鋼、トヨタ紡織九州の前回4強に、トヨタ車体を加えた5チームが激しくつばぜり合いするのは必至。大崎はエース宮﨑、キャプテン永島ら日本代表選手を中心に豊富な持ち駒を誇っており、今シーズンから採用される試合エントリー数16人制を追い風としたいところ。前回まで12大会連続してプレーオフ進出を果たしながら、あと一歩優勝に届かない湧永は玉村新監督のもとで14年ぶりの優勝を狙い、前回6連覇を阻まれて3位に甘んじた大同もV奪回に意欲満々。10月の国体優勝で勢いづく紡織、戦力整備が進む車体も虎視眈々と頂点奪取をうかがっている。第2グループと目される琉球コラソン、豊田合成、北陸電力の3チームは実力が拮抗しており、競り合いの中で上位陣との差を少しでも縮めたい。
 例年以上に混戦模様を呈しているのは女子も同じ。前回に続いて北國、ソニーセミコンダクタ九州、広島メイプルレッズ、オムロンが上位4強を形成する図式は変わらない。3枚のプレーオフ切符をめぐり、最後の最後までしのぎを削る展開になりそう。前回、悲願の初優勝に輝いた北國はエース上町をはじめ、小野澤、横嶋らの主力陣が健在な上に、全日本社会人選手権と国体を連覇して絶好調。負けじとソニー、広島も地力に磨きをかけており、前回屈辱の4位に甘んじたオムロンも巻き返しにやっきとなっている。このあと三重バイオレットアイリス、名古屋が続く展開に。ともに上位4チームから大きく水をあけられた前回のイメージを払拭したいところだ。
 女子3試合が組まれた第1週では熊本でのオムロン-ソニー戦に注目。ともに開幕ダッシュを狙うためにこの一戦は落とせない。ソニーは北國、広島戦が控える第2週に向けて弾みをつけたい。北國と広島は順当に白星スタートを飾る公算が強い。

 

大崎電気

 永島、豊田、宮﨑、猪妻、浦和ら実績豊富なベテランに加え、小澤、森、東長濱ら若い力もグングンと台頭と、個々の力強さに目を奪われがちだが、前回リーグを制する決め手となったのは、岩本監督の揺るがぬ信念のもと、「フォア・ザ・チーム」でチーム戦術を重視する姿勢、そして、とことん速攻、スピードを追求する戦い方だった。前回の成果に自信を深めつつ、それに満足せずに反省を繰り返し、継続をめざす今シーズン。ベンチ入り16人制の採用でさらにスピードに磨きがかかり、チーム初の2連覇へと突き進む。

湧永製薬

 24回大会から前回にかけ、2位、3位をキープし続けている安定感は指折りだが、過去8回の優勝を誇る名門チームにとっては決して満足できない結果。往年の名手・玉村新監督のもと、めざすは22回大会以来の王座奪還あるのみだ。双璧の実力派GK松村、志水、攻撃を仕切れる古家、東長濱と、攻守に核となる選手を擁することは大きな強み。前回、シュート率賞を獲得した新も決め手の1人に成長してきただけに、今井、谷村、木村らが一本立ちできれば、さらに戦力に厚みを増すことだろう。

大同特殊鋼

 リーグ6連覇を狙った前回は3位。その悔しさ、課題を胸に、王座奪還に燃える今シーズンは、7月の第1回全日本社会人選手権で初代王者に立つ好スタートを切っている。今シーズンからコーチ兼任の末松、新キャプテン武田、たくましさ、勝負強さを増している岸川、野村と日本代表組がチームをリードし、職人肌の地引、山城も健在。前回限りで引退した守護神・高木の後も東、田中、久保の実力派が高いレベルで争っており、ディフェンスを引っ張れる千々波が故障から復帰したのも明るい材料だ。

トヨタ紡織九州

 さらなる飛躍を期す今シーズン。日本代表選手が不在の大会だったとはいえ、10月の山口国体でチーム初の日本一を獲得し、最高のムードで開幕を迎える。守護神・海道、呉相玉、中畠、石黒と機動力あふれる選手たちが相手ディフェンスを切り裂いていく。国体でつかんだ勢い、きっかけをふくらませ、リーグでも初優勝にチャレンジする。

トヨタ車体

 前回は出遅れが響いて5大会ぶりにプレーオフ出場権を逃した(5位)だけに、巻き返しにかける意欲は並々ならぬものがある。7月の全日本社会人選手権では優勝した大同特殊鋼には屈したものの、大崎電気、トヨタ紡織九州を破って2位。1人ひとりが役割、責任を果たした試合はしっかりと結果を出せる地力があることを証明木切倉、ルーキー藤本ら若い力が、長丁場でも大きな波なくコンスタントに絡み合えば、悲願の初優勝も近づいてくるはずだ。

琉球コラソン

 高田、池田、栗崎と主力3人がチームを離れて迎える今シーズン。戦力的には苦しく、チームを取り巻く状況も依然として厳しいものの、エース村山、司令塔・水野裕紀を中心に、ハンドボールにかける熱い思い、闘志に陰りはない。上位陣には持ち前のスピード、テクニックを体格、パワーで封じられる試合が続いているとはいえ、着実にその差は埋まってきているのも確か。前回途中から加入した待望の大型左腕・兼浜や榎本、小橋川、連のルーキートリオが吹き込む新しい風にも期待したいところだ。

豊田合成

 着実にチーム強化を図り、前々回は6位に浮上。しかし、さらなる前進が期待された前回は7位と一歩後退しただけに、再浮上が至上命題となる今シーズン。7月の全日本社会人選手権では、今村、中島と左右の得点源をケガで欠く布陣ながら、湧永製薬に3点差(29-32)に迫るなど、上位陣にも対抗できる力を示した。ポスト中村、GK 藤堂、両サイドの大橋、桶谷、センター野しっかり態勢を整え、好スタートが切れれば、プレーオフ進出圏内突入も見えてくる。

北陸電力

 前々回、前回と2回続けて最下位と苦しいシーズンが続いている。神田新監督(選手兼任)のもと、新たなスタートを切って、まずは最下位脱出、そして一気の浮上を狙っていく。再び上昇カーブを描くために中心となるのは、落合、切越、山原やドイツリーグ( デーリッチ)で実績を残してきた赤塚ら、20代なかばの選手たち。彼らをキャプテン前田やベテラン櫛田、髙橋、桜井らがサポートしていくことになる。勢い、若さとキャリアをミックスさせた戦いで、上位陣からも貪欲に勝点を奪い取る構えだ。

北國銀行

 前回、悲願の初優勝を果たしたものの、東日本大震災のためプレーオフが中止となっての栄冠だっただけに、決して満足することなく連覇の意欲にあふれて臨む今シーズン。7月の全日本社会人選手権では4戦全勝で初代女王に輝き、幸先の良いスタートを切った。小野澤、上町、田代、若松、若泉の日本代表組はもちろん、横嶋、樋口、仲宗根らの実力派、翁長、石野、後藤ら1、2年目の若手と、新旧の力ががっちりとかみ合う陣容は文句なし。心技充実したメンバーで優勝争いをリードし、2連覇へと突き進む。

ソニーセミコンダクタ九州

 郭惠靜ヘッドコーチに代わり、小薮コーチが新監督に就任。チームを支えた高栖、長野も引退と、新陣容で今シーズンに突入。態勢が整いきらなかったこともあり、7月の全日本社会人選手権は4位と出遅れた。それでも田中、飛田、張素姫ら要所を締めるベテランは健在で、髙橋、黒木の日本代表コンビも充実。長野の穴はルーキー山野、高栖の穴は2年目の錦織と、新戦力が台頭しており、時間の経過とともに戦力が整備されていくのは間違いないところ。やはり優勝争いの一角から外すわけにはいかない。

広島メイプルレッズ

 かつての7連覇の立役者・呉成玉の復帰もあり、前回はそれまで3回連続4位から3位と再浮上の足がかりをつかんで今シーズンに挑む。新監督に就任した呉、宋海林の韓国コンビが臨機応変に入れ替わりながら攻守の柱となり、堂面、土屋、菅野、大前らのベテランが脇を固める。さらには日本代表の主砲・植垣や田口、早川、高山ら中堅、若手の力もミックスさせ、7月の全日本社会人選手権でも優勝した北國銀行に25-26と1点差に迫って自信を深めている。一気の女王返り咲きも期待できそうな今シーズンだ。

オムロン

 リーグ4連覇の後、前々回は3位、前回は4位と順位を落として苦しい戦いが続いているだけに、なんとしても巻き返したい今シーズン。藤間、巻、藤井、東濱、石立、永田の日本代表組ばかりでなく、キャプテン久野、髙田、吉田、稲葉、勝連ら、1人ひとりの力は充分。4連覇を知る世代の『ここ一番』での経験、若手の思い切りの良いチャレンジャースピリット、勢いを1つにして、前回は勝ち切れずに落とした接戦をモノにできるかがポイント。追加登録された韓国代表・金且妍のポストプレーにも注目が集まる。

三重バイオレットアイリス

 上位陣には突き放され、HC名古屋にも黒星を喫した前回のリベンジを誓う今シーズン。その目玉となるのは、デンマークやスペインで腕を磨いてきた早船。左腕からのトリッキーな巧打が光る早船と大黒柱の伊藤ら現有戦力がからみ合い、相乗効果が生まれてくれば、上位陣にとっても侮れない存在となりそうだ。チームカラーの走り、スピードを体現する横川、石坂、飯田らに、日本代表で着々と力をつける毛利や大型の戎野らのスケールもミックスさせて、上位陣との争いに割り込んでいく。まずはスタートで波に乗りたい。

HC名古屋

 前回、三重から白星を奪い、31回大会からの連敗(1引き分けをはさんで60連敗)にピリオドを打った。長くチームを支えてきた菅谷が引退するなど、戦力的には厳しいままとはいえ、前回で灯した明かりを、今回、より力強いものにしていきたいところだ。限られた戦力を最大限に活かし、攻守ともに先に相手の目先を変えていく試合運びには定評があるチーム。勝機をつかむために、エース高橋(瑛)、守護神・近藤らを軸に、優位な時間帯を少しでも長く持続し、シュートチャンスをミスなく着実に得点に結びつけていきたいところだ。

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